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TRATTORIA Salute

第二十二回(5/13) ★ボクの体はトカゲ並み?!

 今回はちょっと“痛い”お話です。苦手な方はウィンドウを閉じてください(笑)。 先日仕事中、何かの木材に触れたとき‘トゲ’が指に刺さりました。傷口でトゲの 1部が折れ、上の部分はとれましたが折れた下の部分は指の中に突き刺さったまま 残りました。先っぽが出ていればトゲ抜きで抜けるのですが、先が中に入っていて 完全に指の中に埋まっている状態で何度もトゲ抜きで抜こうとしたのですが 抜けませんでした。仕方がないのでその日は消毒をし、バンドエイドをして寝ました。 そして翌日、バンドエイドをはずしトゲがどうなっているか確認すると、なんとトゲの下の 筋肉が盛り上がり、トゲを押し上げ皮膚を突き破ってトゲが露出していました。 なんなくトゲ抜きで抜き、消毒をしバンドエイドをつけておきました。すると又翌日には 完全に傷口がふさがり、パッと見ではどこが傷口かわからないほど回復していました…。 前々から、ボクの体の傷は普通の人より治るのが早いのではないかとずっと思っているのです。

 料理人という仕事をしていると、包丁や缶の切り口での切り傷や、やけどなどの傷が 絶えません。おそらく今までで、大げさではなく小さい傷も含めれば、切り傷が200回以上、 やけどなどは100回以上は経験していると思います。ただし、こういう傷が多いというのは 料理人として‘どんくさい’ということで、あまり自慢はできないのですが(汗)。

 料理人として駆け出しの18歳くらいの時、朝10時くらいにランチタイムの準備でサンデーグラス というデザートを盛るグラスを用意しているときに誤って割ってしまいました。左手の指を切って しまい、ダラダラと血が流れました。忙しい時間帯なので軽く止血をし、消毒をし、バンドエイドをして 指サックをはめ仕事を続けました。そして1日の仕事が終わった夜10時過ぎ、傷口がどうなったか 見てみると、普段ならすぐに血が止まるのに、まだ血がじわじわと出ていました。それにいつもなら 痛みもすぐ治まるのに、その日はズキズキと痛みが増してくるように感じていて、化膿したのかなと 傷口を軽く押さえたりしていたときです。押さえた瞬間に傷口から長さ8mmくらいのガラスの破片が ズルッと飛び出てきたのです。一瞬何が起きたのか理解できなかったのですが、朝グラスを割ったときの 破片が12時間もボクの指の中にあったのです。切ったときは忙しくてそれどころではなく、破片が 入ったままだという事に気づかなかったようです。ガラスが出てきた瞬間、血も噴き出るように出ました。 朝出た血の量よりも多かったです。シェフに「すぐに病院に行って縫ってもらえ。」と言われたのですが 「大丈夫です。ボク、体丈夫なんです。」と答え病院には行きませんでした。でもやっぱり、血はすぐに 止まり、3日後くらいにはほぼ完治していました。直径1cmくらいの指にどうして8mmの長さの破片が 入っていたのか今でもすごく不思議なのですが、あの破片が飛び出てきたときの感覚、ガラスが筋肉を 割ってズルッと出てきたときの感覚、今思い出しても吐き気がするような嫌な‘感覚’でした。

 すでに悦子さんと一緒に暮らしていた22歳くらいの頃の話です。当時働いていたお店のすごく忙しい日の 夜8時くらいでした。揚げ物をしていた油が何かのはずみでこぼれ、かなり高温の揚げ油がボクの右手に かかりました。忙しくてあまり冷やす時間もなく痛いのを我慢しながら仕事を続けました。ようやく仕事が終わった 10時過ぎ、水ぶくれができかけ、ホントに我慢できないくらい痛くなってきたので店長に付き添ってもらって 時間外の救急病院に向かいました。応急処置をしてもらい、痛み止めの薬をもらい、明日もう1度時間内に 来てくださいということでした。通常より2時間ほど遅く、右手をグルグル巻きの包帯姿で帰宅すると、悦子さんは 驚いて今にも泣き出しそうでした。ボクはジョークのつもりで「間違って自分の手を空揚げにしてしもた。」と言ったのですが 冗談はまったく通じず、悦子さんの目からは大粒の涙がこぼれました。「心配するな。オレ、体丈夫やから。」と 悦子さんには強がりましたが、痛みはますます強くなっていきました。やけどの傷の痛みというのは包丁などでの 切り傷より何倍も痛いです。とにかく夜痛くて眠れないほど痛かったです。痛み止めなどまったく効きませんでした。 そして翌日再び病院に行きましたが、あのときのショックは今でも忘れられません。包帯をほどいて自分の手を 見た瞬間、思わず気持ち悪いと思いました。水ぶくれで普段の5倍くらいの大きさに腫れ上がり、ただれてぐちゃぐちゃに なった自分の手。そのときは真剣に「ああ、一生こんな醜い手で生きていかないといけないのかな。」と思うと、痛さも相まって 涙が出そうでした。でも後に知った事ですが、揚げ油の温度くらいのやけどであれば、やけどした直後にすぐ冷やしたり 処置をすればひどい傷跡が残るような事はないそうです。ボクの場合もその翌日くらいからは右手にビニール袋を かぶせ輪ゴムで止め、仕事に復帰しました。そして1週間後くらいには包帯もとれ、普通に仕事をしていましたし、 2週間後くらいにはほとんど‘かさぶた’もとれ、傷口もほとんどわからなくなりました。あのとき、やけどをしたとき 時間的に余裕があってすぐに十分に冷やしていれば、もっと早く治ったのではないかと思っています。ボクの場合 絶対普通の人よりも傷口が治る、皮膚の再生能力が高いと思います。悦子さんに言わせるとトカゲ並みだそうです。

 このエッセイを読まれてる方も、日常生活でやけどをされる事もあるかと思いますが、100回以上経験している ボクから言わせてもらえば、やけどをしたらとにかくすぐに氷水で痛みが引くまで十分冷やすことです。どうして冷やすのかと いうと、後の治り方が違うのです。冷やさなかった場合は冷やした場合よりも、痛みが長引き、完治するまでの期間も 長くかかります。そして十分に冷やした後は重傷の場合は病院で適切な処置をしてもらい、軽傷ならばやけどの治療薬 ‘馬の油’などを塗っておけばいいと思います。この馬の油は結構効きますよ。サルーテをオープンして3年目くらいのことです。 ぐつぐつ沸騰した野菜スープの鍋を右足の足首あたりにまともにこぼしてしまいました。ホントに見事に‘トマトの湯むき’のように 足の甲のあたりの皮がズルッとむけました。でも病院には行かず、よく冷やしてから馬の油だけで治しました。3,4日は 水ぶくれで腫れ上がり片足をスリッパで仕事をしましたが…。またやけどの傷は化膿しやすいので十分に注意が必要です。

 ボクはどちらかというと病院が苦手です。ちょっとくらいのやけどや切り傷では病院に行きませんし、風邪をひいて病院に行った こともありません。何年かに1回くらい歯科に行ったり、オートバイでこけて外科に行くくらいです。内科にいたっては小学校低学年 くらいから30年以上行ってません。あっ、たった1回だけ、昨年熊本市がやってる無料の基本健康検査というのを受けに内科に 行きました。もちろん「異常なし」でしたが。10年くらい前、朝スクーターで買い出しに行く途中、出会い頭に車とまともにぶつかりました。 ボクは勢いでその車のボンネットを飛び越えて投げ出されました。スクーターの前部はペシャンコに潰れ、車も右の前がかなりへこんでいて、 一見大きい交通事故のようでしたが、ボクの体はピンピンしていて、病院に行きましたが「異常なし」でした。また7,8年前、 中型のオートバイでこけたことがあります。こける瞬間、ハンドルで肋骨のあたりをしこたまぶつけました。ホントに息ができないくらい痛く、 ‘これは絶対肋骨折れてるな、少なくともヒビは入ったな’と思って病院に行くと「異常ありませんね。単なる打撲です…。」 ……聞いた途端なんだか不思議と痛みも消えていくようでした…。


  こんなふうに、意外とボクはそそっかしくて、仕事での切り傷ややけどが多いですが、割と体は丈夫で怪我をしても  トカゲ並みのすごい回復力で治るということをわかって頂けたと思います。いつも悦子さんには冗談で 「オレ、間違って  自分の指を包丁で切り落としても大丈夫だよ。またすぐそこから同じものが生えてくるから…。」と話しています。


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