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第二十四回(7/21) ★ボクの不思議体験

 もう夏ですので、今回はちょっとだけ涼しくなるお話を。ボクはもともと霊感的なものは全くなく、 幽霊など見たことはありませんし、金縛りのようなことも経験したことがありません。旅先のホテルや 旅館でも特別怖い想いもしたことはありませんし、UFOなども見たことがありません。 生まれてこのかた、奇妙な体験はまったく経験したことはないはずなのですが…。でも……、 たった1度だけ、どうしても説明がつかない不思議な体験をしたことがあるのです。

 それはボクが19歳か20歳くらいのことです。当時ボクはフランス料理のお店で働いていたのですが、 同僚でとても仲のよい友達がいました(かりにその友達をK君とします)。彼とは毎晩のように仕事が終わった後、 二人でお酒を飲んで遊び回っていました。そして飲み疲れるとボクは自分の家に帰るのが面倒になって しょっちゅう、大阪のK君の実家に転がり込んで泊まっていました。そしてある日のことです。例によって その日もK君とお酒を飲んで酔っぱらい、ぐでんぐでん状態でK君の家にたどり着き、彼の部屋ですぐ 寝てしまいました。何時間くらい眠ったのでしょう。なぜか真夜中にふと目が覚めました。すると、K君の 部屋の障子がスーと開いて、着物を着た中年の女性が部屋に入ってきてボクの方をじーと見つめました。 このときボクにはまったく怖いという感覚はなく、K君のご家族の人だと思い、「こんばんは、お邪魔しています。」 と、挨拶しました。するとその女性はかるくうなずき、またスーと後ろに下がり、部屋から出て行かれました。 そしてボクはまた、そのままぐっすりと寝入ってしまったのです。朝起きて、K君にその話をしてみると、 「寝ぼけてたんちゃう?うちにはそんな女の人はおらんで。夢でも見たんやろ。」との返事でした。 ボクは少し納得がいかない感じでしたが、やっぱり夢だったのかなと思い深くは考えず、二人で身支度をし 仕事に行くため、彼の部屋を出て玄関に向かいました。その途中、廊下を歩いていて何気なく半開きになっていた 応接間のような部屋の中を見ると、わりと大きな額に着物の女性の写真が飾ってありました。何となく気になったボクは その部屋に入り、よくその写真を眺めました。そしてついてきたK君に「昨日の夜、オレが見たん、この人や。」というと K君は「え!…。」と言ったまま、しばらく黙り込んでしまいました。そして少ししてから、「その写真オレのオフクロや。 昨年亡くなったんや…。」今度はボクが「え?!……」。「………。」  そしてまたしばらくしてからK君が笑いながら 「きっとオフクロ、オレが悪い友達と付き合ってないか心配になって出てきたんやで。」  と、  それでボクは 「じゃあ、お母さん安心したやろ。オレみたいな好青年が友達で。」と返し、二人でガハハハと笑いながら仕事に向かいました……。

  今想いだしても、ホントに不思議な出来事です。それまでなぜかK君のお母さんの話は1度もしたことがなかったですし、  その写真もいままで何度もK君の家には行っていたのに、はじめて見たモノだったのです。それ以前にお母さんが亡くなったことを  聞いていたり、その写真を見ていればそれが印象に残って夢を見たということも考えられますが、着物の女性に会った後で  お母さんのことも額の写真も見たのですから。あの女性がお母さんの霊だったのか、ボクが夢を見たのか、  それは今でもわかりませんが もしあれが霊だったとしても危害を加えるという感じはいっさいなく、ボクにもまったく  恐怖心はなかったですし、ほんとにK君のご家族だという安らいだ感覚だったのです。


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