第二十五回(9/16) ★イタリアでのカルチャーショック
※このエッセイは、サルーテの某常連さんのホームページのエッセーのコーナーに 寄稿したことがあるもので、読まれた方がおられるかもしれません。イタリアを旅行した際、ホテルの部屋から外出しようとして部屋のある階から 1階に降りようとエレベーターに乗った時の話です。エレベーターに乗り込み 《1階》のボタンを押しました。下降をはじめ、すぐに着きました。扉が開き、 出ましたがなんだか様子が変です。すぐ前にあるはずのフロントがないし、 窓から見える風景も2階のように見えます。間違えて《2階》のボタンを 押したんだと思い、エレベーターに引き返すとちゃんと1階と表示してあります。 エレベーターホールの壁にも1階と表示してあります。「え?え?」どういうこと? どう見てもここは2階なんだけどな…?。まるで狐につままれたような気分になり、 しばし茫然と考え込んでしまいました……。 皆さんこれがどういうことかおわかりですか? つまりこれはこういうことなのです。イタリアでは日本でいう2階を1階と呼ぶのです!! つまり3階は2階なのです(ややこしいな。)。そして日本でいう1階は、エレベーターの 表示を見ると《T》という表示になっていました。この《T》が何の略なのか?またこれが イタリアだけなのか、欧米では普通の表示なのか、わからなかったのですが、とにかく 日本でいう1階とイタリアの1階は違うのです。
海外の習慣や常識や文化というものは、実際行ってみないとわからないことって 結構多いです。こんなことガイドブックにも載ってないですもんね。イタリアに 行くたびに、やっぱり日本の常識は世界の常識とは違うんだと思い知ります。
「スローフード、スローライフ」のエッセイに書きましたがデパートが日曜日定休日と いうのにはホントに驚きました。日本の常識では考えられませんもんね。しかもその 翌日の月曜日は遊び疲れてるからという理由で昼過ぎからの営業ですからね。 レストランやお店や銀行などの営業時間も日本と比べるとかなり違います。 レストランについては「『はじめてのイタリア』のエッセイで書きましたが、ランチタイムは 12時半や1時から営業というお店が多いようです。ディナータイムは7時半や8時くらい から営業というお店が一般的です。商店やブティックは朝10時くらいにオープンして 昼1時くらいに一旦クローズし、再び4時くらいにオープンし夜7時か8時で閉店という のが一般的だそうです(1時から4時はいわゆるシェスタなのでしょうね。ただ近年は シェスタをとらないお店も増えてきているそうですが)。銀行などは朝8時半くらいに 開き、午後1時半くらいで一旦閉まり、再び3時くらいから1時間くらい営業する ところが多いようです。旅先では両替などで頻繁に銀行を利用するので事前に しっかり調べておいた方が無難なようです。
一昔前まで、日本では「『水』と『安全』はタダなどと言われていましたが、現在は そうでもありません。今ではミネラルウオーターを買うのが当たり前になってきていますし 考えられないような凶悪事件も急増しています。ただたいてい日本では、レストランや 食堂に入ったらだまっていても席に着けば水が出てきます。イタリアではどうかというと レストランに入った場合、注文しなければ水はでてきません。一般の家庭でも たいていペットボトルの水を大量に買い込んでいます(もちろん水道水をそのまま 飲む人もいますが)。イタリアの水というのはいわゆる硬水で石灰分を多く含んで いるため、生で飲むのにはあまり適しません(但しこの硬水というものはスパゲティなどの 乾麺を練る水としては最適なのです)。軟水に慣れている日本人が飲むとお腹をこわしたり することがあるらしいです。
イタリアのレストランで水を注文する時、「アクアミネラーレ、ペルファヴォーレ!」と言います。 ただしこの注文だと炭酸ガスの入った水がでてきます。イタリアでただ「水を下さい。」と注文 するとこの炭酸入りの水のことなのです。炭酸入りの水も慣れない日本人には味のない ソーダ水みたいで少し戸惑うと思います。ボクも最初は炭酸入りになじめなくて注文の時 炭酸抜きという意味の「アクアミネラーレ、センツァガス、ペルファヴォーレ!」と言っていました。 でもこの炭酸入りの水も慣れてくるとおいしく感じられるようになるのです。特に脂っこいものを 食べた時など炭酸が脂を洗い流してくれるようでとても心地いいのです。ウチの店でも 海外生活を長くおくっていた方などは炭酸入りのミネラルウオーターを注文されます。
イタリアで銀行に入る際、はじめとても戸惑いました。2重扉のようになっていて、ひとりが 入ると1つ目の扉が閉まりその後やっと2つ目の扉が開きだします。入るのがひとりじゃないと 2つ目の扉が開かない仕組みになっているらしいです。つまりひとりずつしか入れないし、 急いで出たり入ったり出来ないようになっているのです。こういうのはやはりテロや銀行強盗 などを警戒してのことでしょうが、時間がかかるので急いでいる時などはかなりイライラします。 そして窓口でもたいてい何人かが並んでいて、また待たされます。そしてやっと自分の番になって 窓口に立つと100%銀行員は無愛想です。日本のように客商売らしく「いらっしゃいませ。」 なんて絶対言わないし、まったく笑顔はありません(笑)。銀行だけでなくたとえばスーパーの レジ係なんかも無愛想でニコリともしません。日本では客商売の場合『笑顔』はサービスみたいな 部分がありますがイタリアにはそういう感覚はないみたいです。日本よりもストーカーなどが多いから あまり安易に他人に笑顔は見せないのか、それともやはり文化の違いなのでしょうか。
はじめてイタリアを訪れた17年前、ローマで1度怖い目に遭いました。コロッセオの近くの 人気のない道をひとりでブラブラ歩いていた時のことです。10歳から14歳くらいの少年、 少女6,7人に取り囲まれました。はじめはなにか訳がわからなかったのですが、何かくれと 言っているようです。言葉がわからないという感じで知らんふりをしたのですが、そのうち バッグをひっぱられ、ジャケットの中にも手を入れてきたので、これはヤバイと思い何人かを 蹴飛ばし、手を振り払って駆け出しました…。この少年たちはいわゆる“ジプシー”の 子供たちです。この少年たちはこういうひったくりやスリ、かっぱらいなどで生計をたてて いるのです。遊ぶ金欲しさではなく生きていくためです。やっていることは悪いことですが なにか純粋なものを感じます。イタリアの国内のいたるところにこういう子供たちがいます。 島国でわりと裕福な日本ではあまり考えられないイタリアの実情なのでしょう。
旅行中によく困るのがトイレです。イタリアは日本と比べて公衆トイレがかなり少ないと思います。 したがってトイレに行きたくなったら近くのバール(喫茶店)に入り飲み物を注文してトイレを借りることが 多いです。なかには安全の問題なのか鍵がかかっているトイレがあり、店員さんに言って鍵を もらうところもあります。そして公衆トイレですが、これも日本とはかなり感覚が違い、たいてい お金(チップ)がいります。金額が表示してあればその金額を払えばいいし、表示されていないところでは 200リラか300リラ(15円か20円くらい)くらい払います〔現在はユーロ(セント)ですが〕。トイレの前に ちゃんと係の人がいて、しっかりチェックしています。そしてたいてい公衆トイレはどこも混んでいて長い列 が出来ていることが多いので、できるだけ立ち寄った美術館やレストランでその都度用を足しておいた方が いいと思います。すこし話がそれますが、1度ミラノで個人のガイドさんにミラノ郊外の避暑地コモ湖を案内 してもらうためミラノの大聖堂前からミラノ中央駅までタクシーに乗った時のことです。乗ってすぐに下腹部に 鋭い痛みが走り、お腹がゴロゴロいってきました。何か食べ物か水があたったらしいです。しばらく我慢を していましたがもう限界。「お腹をこわしたらしいです。トイレに行きたいのですが。」と、ガイドさんに言いました。 すぐにバールか公衆トイレを探してもらいましたが、駐車スペースがなかったり、あっても駐禁だったりで車を 停められません。しかしボクの状況がかなりヤバイと察知したガイドさんは運転手さんに「とにかく駐禁でも 構わないから、どこかのバールの前に停めてくれ!」と指示してくれました。そしてやっと見つけたバールに 駆け込み、用を足し、事なきを得ました。あの時はほんとに恥ずかしかったです。車に戻ってきて冷や汗を 拭きながら日本人ガイドさんとイタリア人運転手さんに「ご迷惑かけました。」とお礼を言いました。 でもその横で悦子さんは涼しい顔でクックックッと笑いをかみ殺していました。(しばいたろか!!)……。
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