第九回(1/10) ★シャンパーニュ
なぜか毎年寒い時分になると、シャンパーニュが飲みたくなります。冬の寒い夜 水炊きや魚介のわりとあっさりした熱々の鍋をつつきながらキンキンに冷やした シャンパーニュを飲むのは格別に美味しいです…。最近食事に行って美味しいシャンパーニュに出会った記憶というのは、数年前博多に 用事で出掛け、博多リバレイン内のフレンチレストラン『ひらまつ』に立ち寄ったときです。 ご存知かと思いますが東京にあるレストラン『ひらまつ亭』の支店で、さすがに超高級レストラン だけあってすこし圧倒されそうでしたが、そこですごいと思うのが洗練されたギャルソン(給仕係)の 対応です。緊張気味のこちらを察し何気ない会話で緊張を和らげてくれます。さすがによく 教育されているなあと感心しました。そしてこちらが幾分落ち着いてきた頃、「食前酒はいかが なさいますか?本日のおすすめの食前酒はフレッシュのいちごをシェイクし、シャンパーニュと 合わせたものでございます。」、とのこと。緊張からノドがカラカラの僕たちは迷わず「それを下さい。」 ほのかに甘くて切れがよく、シャンパーニュのさわやかな泡が心地よかったです。そして2杯目に シャンパーニュだけを飲みたくなり、グラスで注文しました。バターやトースト、柑橘類の香りと 甘味、酸味のバランスが非常によく、とても気に入りました。ギャルソンに銘柄を尋ねると 『ルイ・ロデレール ブリュットプルミエ』とのこと。シャンパーニュに関してはあまり詳しくない僕でも 名前はよく知っているかなり有名なシャンパーニュ・メゾンです。
一般的に日本ではシャンパンまたはシャンペンと呼ばれていますが、シャンパーニュのほうが より正しいです。またスパークリングワイン(発泡性ワイン)をなんでもかんでもシャンパンと 呼ぶ人がいますがこれは間違いです。シャンパーニュとは地名で、フランス、パリの東約150kmの シャンパーニュ地方で造られ、しかも定められたブドウ品種、製法で造られたスパークリングワイン だけがシャンパーニュと呼べるのです。つまりそれ以外のスパークリングワインをシャンパーニュと 呼ぶことは許されないのです。
シャンパーニュにみられるあのきめ細かい泡はどうしてつくられるかご存知でしょうか? 簡単に言うと発酵の際に生じる泡です。発酵とはつまりブドウの糖分が酵母によって アルコールと炭酸ガスに分解される化学現象ですが、最初の発酵の際の泡はシャンパーニュの 泡には関係ありません。わかりやすく説明するとシャンパーニュを造る際、まず普通にワインを 造ります(その際の炭酸ガスは関係ないのです)。そして出来上がったワインを瓶詰めし、そこに 新たに糖分と酵母を添加し栓をし、瓶内2次発酵を起こさせ、そのまま長期熟成させるのが シャンパーニュの製法です。熟成の間にはルミアージュ(動瓶)やデゴルジュマン(口抜き、オリ抜き)などの 作業を1本1本手作業で行うというような気の遠くなる仕事があるため、どうしても経費や人件費の コストがかかってしまい、シャンパーニュの価格は高くなってしまう訳です。もっと簡単に2次発酵を 大型密閉タンクで行う方法もあるのですが、あのきめ細かい泡がでないので頑なに昔ながらの 瓶内2次発酵の製法を続けているのです。 また普通シャンパーニュにはヴィンテージ(収穫年)は表示されていません。これはシャンパーニュの 場合、味を均一化するために複数年に収穫したワインをブレンドして造るためです。そして希に ブドウの出来が非常に優良な年に限り、その年のブドウだけを用い造られるのがヴィンテージシャンパーニュ です(ただしこの場合も100%同一年ではないのですが)。そして熟成期間なども普通のものより 長くとるため価格も2倍から3倍になるというわけです。
普通ロゼのワインを造るときは(4通りくらいの方法があるのですが)、最初は赤ワイン造るようにし 黒ブドウの果皮からすこし色が出てピンクになったところで果皮と種を取り除き、後は白ワインと同じ作り方 というのが主流なのですが、シャンパーニュの場合は赤ワインと白ワインを混ぜてつくるという方法で 造られます。この製法は世界でもシャンパーニュだけで認められている製法です。
もう10年くらい前になると思うのですが、サルーテの飲み会でみんなでモエ・エ・シャンドン社の 『ドン・ペリニヨン』を飲んだことがあります。まだそのころの僕はほとんど知識がなく、どんなに美味しいんだろうと ワクワクしながら開けたのですが、1口飲んでみてみんなで顔を見合わせ「なんじゃこりゃ?」。 甘くて飲みやすいというイメージが合ったのですが全然違ったのです。シャンパーニュには甘口から 辛口まであり、『ドン・ペリニヨン』は《ブリュット》つまり極辛口だったのです。やはりシャンパーニュを 飲む場合、合わせる料理やその時の雰囲気が大切だなあと感じました。 シャンパーニュにはやはり晴れやかな舞台が似合います。結婚式やパーティー、何らかの記念日での 食事など、シャンパーニュは楽しい宴を最高に盛り上げてくれます。キャビアなどがあれば言うことありません。 映画にもシャンパーニュはよく登場します。「プリティー・ウーマン」ではシャンパーニュにイチゴを落として 飲んでいましたし、007ジェームズ・ボンドは『ボランジェ』という銘柄がお気に入り、コミック「ソムリエ」では 優良年しか造らない『サロン』という銘柄が紹介されていましたし、ある人は最高のシャンパーニュの銘柄は 『クリュグ』だという人もいますし、いや王様は『ドン・ペリニヨン』だという人もいます。 でもみんなそれぞれに素晴らしいのです。
どうです?みなさんもなんだかシャンパーニュが飲みたくなってきたでしょう? 今晩あたりいかがですか?熱々の鍋とシャンパーニュ!(それ以外の辛口スパークリングワインでも構いません)。
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