第十二回(3/21) ★ボクのブチギレ事件簿


 自分の性格、わりとおとなしそうとか、優しそうとかと見られがちなのですが実際はすごく気が短く、瞬間湯沸かし器です。ある程度までは我慢出来るのですが特に非常識なことや理不尽なことをされたときなどは、すぐに沸点に達します。

※第1話 「無断駐車カーチェイス事件」
 今から13,4年前、サルーテの店をオープンして1,2年の頃です。当時お店の駐車場はまだたった1台分でした。場所はお店から熊大とは逆方向に50Mほどの所にあるポストがあるたばこ屋の真向かいのアパートの駐車場でした。そのころから車で来られるお客様が増えてきて1台では足りないなと思っていた頃です。ある日のディナータイム、その駐車場に無断駐車がありました。1台分しかないのにサルーテと関係ない車を止められると車で来られた方が使えず大変困ります。しかもその車、翌日の朝もまだ止まっていました。さらにランチタイム中もずうっと止まっていて駐車場の管理会社に連絡しようかと考えていた夕方4時くらいです。スクーターで買い物に行くため、駐車場の前に差し掛かると車の持ち主のカップルがちょうど乗り込むところでした。そしてボクの顔を見た途端、慌てて急発進、逃げようとしました。その瞬間です。ボクの頭の中で何かがブチブチと音を立てて切れました。こちらもスクーターを急加速させ追いかけました。車は万石酒店(旧ユーマートタカキ)を右折、小峯墓地の方へ向かいました。最高速で負けても加速はスクーターの方が早いですから小峯墓地にかかるY字路で追いつき横に並び、運転席のドアを蹴り、さらに前にでて車を止めさせました。思いっきりドアを蹴り、運転していた男を引きずり出し、つかみかかり、殴りはしませんでしたが公では口に出来ない汚い関西弁で罵声を浴びせ脅しました。助手席から女が飛び出てきて「許してください。お願いです。もう止めませんから。許してください…。」……。

 後になって冷静に考えてみると、危険なことをしてしまったものです。大怪我をしなくてよかったです。お店をはじめて16年目ですが、いまだに無断駐車が絶えません。自分としては無断駐車する人の気持ちがまったく理解できません。空いているんだから、ちょっとくらい止めてもいいだろうと、考えるのは無断駐車する人の勝手な理屈です。一言こちらに「止めさせてください。」などと聞いてから、こちらがダメっと言ったときにはじめて、空いてるんだからちょっとくらい止めてもいいじゃないかと、言えることでしょう。こちらとしては礼儀として一言声を掛けて欲しいのです。「30分ほど止めさせてもらえませんか?」とか、営業時間外の夜など「一晩止めさせてもらえませんか?」など声を掛けてくれれば、よっぽどの理由がない限りダメだとは言いません。営業時間中に無断駐車をして、そのために車でこられたお客様が止められず帰ってしまったら、どう責任をとってくれるんだろうと思います。交通の便の悪い、へんぴな場所で営業しているので、わざわざ来て下さるお客様を帰してしまうことは最高に心苦しいのです。


※第2話 「スターウオーズ激怒事件」
 今から数年前、スターウオーズ・エピソード1が公開されたときのことです。悦子さんと2人で観に行ったのですが平日のお昼だったので映画館は半分くらいの入りで、ボクたちが座った座席の周辺も空いていて、ゆったりと快適に観れる状態でした。ところが開演のブザーが鳴る直前、3,4才の子、1才くらいの子、赤ちゃんを連れた30代半ばの夫婦が、ドアを勢いよく開けて入ってきました。その瞬間イヤな予感がしたのです。案の定、その家族連れはボクたちの席の真後ろに座りました。まもなく映画は始まりましたが、子供が泣く声、何かをねだる声、何かを食べる音、子供が足でボクたちの座席の後ろをコツコツと蹴る音と振動、全く映画に集中できません。親は見て見ぬ振りでぜんぜん注意しようとしません。はじめはまだましだったのですが、子供はだんだん退屈してきたのか泣き声、喋り声、座席の後ろを蹴る音がどんどんエスカレートしていき、悦子さんもかなり迷惑そうでした。そういう状態が続き映画が始まって30分くらいたった頃です。ボクの真後ろの子供がボクの座席の背をコツコツ蹴るのがいきなりガツンッとすごい勢いで蹴ったのです。その瞬間です。ボクの頭の中で何かがブチブチと音を立てて切れました。後ろをふり返り映画館中に聞こえる大声で、しかも公では口に出来ない汚い関西弁で罵声を浴びせ脅しました。映画を見ていた人全員がいっせいに、こちらをふり返り、映画は台無しです……。

 映画が終わった後、その夫婦は「申し訳ありませんでした。」と言い、足早に立ち去りましたが、決して子供を連れて映画を見るななんて言いません。でもやっぱりスターウオーズは3才や1才の子には難しいし、それなりの映画があるでしょうと言いたいです。それに子供が他人に迷惑を掛けたらちゃんと注意してほしいです。ボク自身には子供がいないので子供を持つ親の苦労や気持ちが分かるのか?と言われればそれまでですが、やはり最低限のルールはありますよね。サルーテの店でも、時々ではありますが余りにも非常識な子供連れの方来られます。ウチの店は小さな子供さんお断りというような高級店ではありませんので、子供さんを連れてきていただいて全然構わないのですが、他のお客様に迷惑がかかるのはとても困ります。食事中、大声を出したり、走り回ったり、そしてそれを親は注意しない、帰った後はテーブルやイスは食べ散らかしたものでベトベト。お金を払えば何をしてもいいと考えておられるのでしょうか。たしかに子供さん連れで食事に行く場合、ある程度お店など制限されてしまいますが、お客様にもそれなりの節度があるのではないでしょうか。ボク自身がサルーテのお店でお客様にブチキレることはあり得ませんが、自分にとっても、お客様にとっても気持ちよくいれるお店でありたいです。


※第3話 「警察官説教事件」
 これも今から数年前の出来事です。以前住んでいた坪井のマンションで連続してオートバイの部品が盗まれたり、壊されたりしたことがありました。最初はミラーだけを盗まれ、2度目はイグニッションが壊され、マンションの近くに持ち出され放置されていました。3度目はヘッドライトだけを盗まれました。3度目はいい加減頭にきて、とりあえず警察に被害届を出そうと最寄りの交番へ行きました。応対したのは50才くらいの年配の警官だったのですが最初からめんどくさそうな、やる気のないような態度でした。ボク自身の見た目って、わりと若く見られるのでしょうか、服装も若めで大学生くらいに見えたのかもしれません。おそらくバイクの盗難事件なんて日常茶飯事だし、警官が「またか。」と思う気も分かりますが、盗まれる側は違うんだし、第一見た目で学生っぽいから横着な態度をとるなんて良くないですよね。話をしても、まるで盗まれるこちらに責任があるような話し方でした。そしてボクがいろいろ訊ねたり、事情を説明するうちにその警官が「はあー?」という返事を返しました。その「はあー?」には明らかに “生意気な若僧が。あきらめて早く帰れよ。”というようなニュアンスが含まれていました。その「はあー?」を聞いた瞬間です。ボクの頭の中で何かがブチブチと音を立てて切れました…。
 実はこれにはすこし伏線があるのです。このことがある数ヶ月前、黒髪の周辺で空き巣や暴行、放火などの事件が相次いで発生していて、北署の刑事課からよく刑事さんがウチの店にも聞き込みに来られていました。「些細なことでも構いません。何か情報があればぜひご連絡下さい。ご協力をお願いします。」と来られるたびに話していかれました。聞き込みやパトロールの合間にウチでコーヒーを飲んでいかれたり、世間話をしたり、わりと親しくさせていただきました。夜遅くまでパトロールなどされてる姿を見るとやはり警察官の方は大変だなあとつくづく思いました。結局その事件は刑事さんたちの活躍で犯人は検挙されたのですが、そういう刑事さんのイメージと、先程の交番での警官の態度のギャップが激しすぎ余計に頭にきたのです。ブチキレたボクは、自分は学生でもないしそんなに若僧でもない、黒髪でもう10年以上飲食店を経営しているいい年の社会人だ。という意味のことを例によって汚い関西弁でまくし立てました。この時点でその警官の顔色は変わったのですが、ボクはもう止まりません。先程の北署の刑事さんの話を持ち出し、警察というところは自分が協力してほしいときは、下手にくるのに、こちらが困って相談にきてるのに、どうしてそんなに高飛車な態度をとるんだとか、正式な階級と名前を名乗れ!直接県警の上層部に抗議してやるとか、公務員はこうあるべきだろうみたいなことを延々30分くらい説教してやり、結局その警官には謝罪させました……。

 公務員の方々に全く恨みなどありませんし、たぶん多くの公務員の方が人のために一生懸命働いておられるのだろうと思います(北署の刑事課の刑事さんのように)が、なぜか今まで役所などで出会った職員に好印象を持った事がありません。別にファーストフード店みたいな笑顔や愛想を振りまけとは言いませんが、せめて高慢な態度はやめて、普通に同じ目線で誠実に接してほしいです。ボクたちが役所や警察に行く場合、何か困ったことがあったり、何かを相談したいことがあったり何か難しい手続きなどで行くことが多いわけですから、出来るだけこちらの不安を取りのぞくように心身になって話を聞いてほしいのです。エラそうな事を言うようですが、それが本来の公務員の姿ではないでしょうか。

 年をとったせいでしょうか、近頃ではあまりブチギレたり怒ったりすることもなくなりました。無断駐車などがあってももう「どうでもええわ。」みたいなあきらめの心境です(笑)。あまり怒ってもそのエネルギーがもったいないということに気づいたんです。そのエネルギーをそんなしょうもないことに使うより、新しい料理を作ったり、新しいメニューを考えたりに使う方はずうっと楽しくて健全です。先程も書きましたが、できるだけ気持ちよく仕事をして気持ちよく暮らしていきたいです。

シェフ

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