第二十九回(11/24) ★イタリアの香り


 ボクは料理人として舌の感覚はそれほどたいしたことはないと思うのですが、香りを感じる感覚はわりと敏感で、人より少しだけ優れているのではないかと思ったりします。悦子さんが嗅ぎ分けられない香りや臭いがわかったりします。(ただ単に悦子さんの嗅覚が良くないだけかも?)ワインアドバイザーとして、料理人として香りに敏感なのはとても大事です。いろんな食材や料理、ワインの香り、または古くなって傷んだ食材の臭い、酸化したワインの判別などとても重要です。

 イタリアに行ったことのなかった若い頃、イメージとしてイタリアの香りというのはやはりニンニクやオリーブの香りでした。でも実際イタリアを旅して自分自身が感じた“イタリアの香り”というのは“コーヒー豆の香り”でした。イタリアを旅するとどこの街に行っても、町の角かどにバール(イタリアのカフェ)があり、とても香ばしい挽きたてのコーヒーの香りが漂ってきます。今でも店でエスプレッソの豆をミルで挽いていると強烈なコーヒー豆の香りが店中に漂い、その香りをかぐと条件反射でしょうか鮮明にイタリアの町並みが頭の中に甦ってきたりします。話がそれますが、香りの条件反射というのは恐ろしいもので、なぜかいつも寿司屋の酢の香りを嗅ぐとヨダレが出ます(犬か!)。またウナギの蒲焼きの香りを嗅ぐとお腹がグーと鳴ります。それから本屋で本の香りを嗅ぐとなぜかトイレに行きたくなります。それにあるブランドのシャンプーやリンス、香水の香りを嗅ぐと昔付き合ってた女の子の想い出したりします。香水で思い出しましたが、ボクが感じたイタリアの香りは“コーヒー豆の香り”ともうひとつ、 “香水の香り”があります。イタリアの女性はある程度大人になるとたいてい香水をつけるようです。イタリアの街を歩くと、いたるところでかなり強い香水の香りがします。デパートの香水売り場などを通ると、一瞬イタリアいるような錯覚に落ちいることもあります。いつかイタリア国内の移動でアリタリア航空に乗った時、密閉された空間で強烈な香水の香りが充満し、吐き気がしたことがありました。香水も適度であればエレガンスですがあまり強すぎるのは困りますね。ボクも若い頃、オーデコロンに興味を持ちいろいろ試しました。20歳代のころは、トミーヒルフィガーやポロスポーツのオーデコロンを使っていました。ただ30歳を過ぎてワインの勉強を始めてからはオーデコロンや整髪料など香りのする化粧品などは一切やめました。やはり強い香りがするとワインのテイスティングなどに邪魔になるからです(コミック「ソムリエ」にも書いてありました笑)。

 イタリアの香りが“コーヒー豆の香り”と“香水の香り”というのはボクにとっての話であり、人それぞれイタリアの旅した場所、居住した土地によって違うでしょう。田舎を旅された方は土の香りであったり草の香りであったり、海岸沿いの街に住まれた方は磯の香りであったり魚の香りであったり。その人だけのイタリアの香りがあるのでしょう。また近い将来イタリアを旅し、またボクだけのイタリアの香りを見つけてきたいと思っています。

シェフ

*SIDE MENU*

■営業時間
ランチタイム
 AM11:30〜PM2:30(OS PM2:00)
ディナータイム
 PM5:30〜PM10:30
  (OS PM9:30) (日曜日 PM9:00)
■定休日
 毎週月曜日
■住所
 〒860−0862  熊本市黒髪4-5-3
■TEL・FAX
 (096)343-8081

facebookやってます