第三十一回(1/13) ☆1万円のコース料理


 ここ4,5年くらい前から、自分の中でちょっと考えていることがあります。それはうちのお店、ディナータイムはコース料理だけにしてはどうかなということです。サルーテはトラットリア(大衆食堂・居酒屋風食堂)という看板をあげています。コース料理もあるけれど、だいたいは大皿でわいわい取り分けるようなスタイル。コースではなく、アラカルト(単品)が中心というお店です。でも単品をお客様に選んでもらって食べてもらうのではなく、コース料理としてトータルな感じでお客様に料理を楽しんでもらいたいという、料理人としての欲求がここ数年わき起こっているのです。たとえば、価格は¥1800、¥3000、¥4500、¥6000と設定し、¥1800のコースは現在のミニコースのような感じで前菜、パスタ、デザート、コーヒー。¥3000のコースは前菜、パスタ、メイン料理1皿、デザート、コーヒー。¥4500のコースはメイン料理が魚、肉と2皿になり、¥6000のコースは前菜またはパスタが2皿となり、メインも2皿という具合です。¥1800と¥3000のコースは予約なしでも食事が出来、メニューは週替わり又はプリフィクス。¥4500と¥6000のコースは2日前までに予約をいただき、メニューは、おまかせ又は、お客様の意向をある程度伺って決めます。そしてディナータイムは小さなお子様の入店はご遠慮願うという形にします。でももし実現すれば、極端にお客様は減るでしょうね(笑)。経営としてはかなり厳しくなるでしょう。ウチのような店の立地ではむずかしいと思いますし、しかも今現在は未曾有の大不況、まだまだ景気がよくなるまでに数年はかかるでしょう。ですから今すぐというわけではなく10年後くらい、ある程度返済などが終わって、ほんとに趣味でお店が出来るようになったら実現するかもしれません。

2年前くらいから、1,2ヶ月に1回のペースで、同じお客様なのですが1万円くらいでコース料理を用意してくれ、というリクエストがあり、もう今までで20回近くこなしています。人数は4名から6名くらいです。キャビアやトリュフ、フォアグラ、和牛ロース、タラバガニ、天草大王など、普段は高価すぎて使えない食材を使うことが出来、料理人として面白くてしかたありません。パスタも手打ちパスタで、イカ墨を練り込んだりハーブを練り込んだり。普段は作らない変わった詰め物パスタを試したりします。どうしても少人数ですから食材にロスが出てしまい、利益があまり上がらなかったりしますが、料理人としての悦びを感じます。その時の食材でその時の調理法で作るので、もう2度と同じものは作れないなあと、という料理もあったりします。今までに作った1万円のコース料理をいくつかピックアップして紹介したいと思います。

 ※某月某日(冬)
・北海道産タラの白子のムニエル 春菊添え
・馬肉のカルパッチョ 生姜風味
・じゃがいものニョッキ ハマグリと菜の花のソース
・緑色のパスタ イベリコ豚のラグーソース
・エスカルゴのリゾット
・天然平目のポアレ スペルト小麦のスープ仕立て
・フランス産仔鴨のロースト コーヒーの香り

 ※某月某日(春)
・天然平目とウニのカルパッチョ 菜園風
・ロンバルディア産スカモルツァチーズのグリル
・キタッラのボッタルガとアーティーチョーク風味
・ゴルゴンゾーラを詰めたラビオリ カボチャのソース
・春野菜のリゾット
・天然チヌ鯛と北海道ホタテ貝の軽い煮込み
・オーストラリア産骨付き仔羊肉のロースト ポルチーニ茸風味

 ※某月某日(夏)
・海老とキスとズッキーニのセモリナ粉揚げ ゲランド天然塩添え
・ナポリ産水牛のモッツァレラチーズと熊本産フルーツトマトの前菜
・冷製キャビアのスパゲッティーニ
・ホタテを詰めたサゴッティーニ カレー風味
・冷たいカボチャのスープ 豚タンのスモーク添え
・天然イサキのグリル カポナータ添え
・ロールにした天草大王のロースト キノコ添え

 ※某月某日(夏)
・福井県産甘エビのカルパッチョ
・生ウニとじゃがいものパンナコッタ
・ボッタルガとオクラとシラスのスパゲッティーニ
・冷たいブロッコリーのスープ
・愛媛産天然スズキまるまる1本岩塩焼き
・熊本産豚“肥皇”のロースト グリルした野菜添え

 ※某月某日(秋)
・北海道産活ホタテ貝の香草パン粉焼き
・熊本産馬刺しのタルタル
・松茸と銀杏のスパゲッティーニ
・栗の粉を練り込んだタリアテッレ ポルチーニとラディッキョのソース
・ノルウェーサーモンのグリル マリナーラソース
・和牛ヒレ肉のポアレ ペーストジェノヴェーゼ

 ※某月某日(冬)
・ノルウェーサーモンの生あたたかいカルパッチョ
・牡蠣と茄子のグラタン
・イカ墨を練り込んだタリアテッレ アオリイカのソース カラスミ添え
・バローロのリゾット
・皮ハギの蒸し焼き タップナードとバジリコのソース
・四万十ポークヒレ肉のロースト 熊本県産の新タケノコ添え

 ※某月某日(冬)
・卵黄で和えた天草産天然平目のタルタル
・長崎産天然アジとじゃが芋のミルフィーユ 干しぶどうと黒オリーブの風味
・自家製カッテージチーズと海老、ホタテを詰めたラビオリ キャビアのソース
・スモークサーモンとカポナータ、モッツァレラを詰めた自家製カネロニ
・天草産メバルのフリット 茶豆と野菜添え
・天草産天然鯛のポアレ 鹿児島産ウニのソース

 ※某月某日(春)
・ノルウェーサーモンとホタテのミルフィーユ仕立て キャビア添え
・熊本産ホワイトアスパラガスののソテー スクランブルエッグのソース トリュフ添え
・本タラバ蟹とネバネバ野菜のスパゲッティーニ
・紫芋のニョッキ クワトロフォルマッジ(4種類のチーズソース)
・長崎産イサキののポアレ オマール海老のソース
・天草梅肉ポークのグリリアータ 発酵バターと野菜のソース

 ※某月某日(春)
・ボタン海老のカルパッチョ オマール海老のジュレ添え
・イベリコ豚前脚の生ハム 熊本産美味しいメロン添え
・ウナギと枝豆の焼きリゾット
・パッパルデッレの仔羊ウデ肉と豆のラグーソース
・天草産天然鯛のフリット サルサヴェルデ
・フォアグラとトリュフを詰めたフランス・ヴァンデ産ウズラのロースト

 ※某月某日(夏)
・北海道産天然ホタテのカルパッチョ カレー風味ドレッシング
・仔羊胸腺肉のグリルサラダ トリュフ風味
・冷製フェデリーニ 生ウニとフルーツトマトのソース
・唐辛子を練り込んだキタッラ 馬肉と野菜のラグーソース
・天草産舌平目のパン粉フリット
・仔牛ヒレ肉のソテー  水牛モッツァレラのせ生トマトのソース

 ※某月某日(秋)
・函館産ホッケのカルパッチョ
・ホロホロ鳥のコンフィとアーティーチョークのサラダ
・ピスタチオナッツのペーストと海老のスパゲッティーニ
・トリュフを練り込んだタリアテッレ 霧島黒豚とタモギ茸のラグー
・宮崎産メカジキのポアレ サンマの腹わたのソース
・日向鶏腿肉のロースト エスニック風

 ※某月某日(冬)
・天草産皮ハギのカルパッチョ その肝と葱のソース
・北海道産タラの白子と里芋のムニエル
・挽肉とチーズを詰めたアニョロッティ 自家製コンソメスープ
・キタッラの熊本産ウニと海老のソース
・牡蠣のフリット 蕪のスープ仕立て
・天草大王と“インカのめざめ”のロースト

以上のような感じです。この1万円コースの予約が入るようになって、さらにボクの心の中でディナータイムはコース料理だけにしたいなと、思うようになりました。実現するのは難しいでしょうが、将来いつか出来ればいいなと考えています。

シェフ

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■営業時間
ランチタイム
 AM11:30〜PM2:30(OS PM2:00)
ディナータイム
 PM5:30〜PM10:30
  (OS PM9:30) (日曜日 PM9:00)
■定休日
 毎週月曜日
■住所
 〒860−0862  熊本市黒髪4-5-3
■TEL・FAX
 (096)343-8081

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